【ゴールデンカムイ聖地巡礼記⑤】1日目:サッポロビール編
こんにちは、サラミです!
今回は札幌編の続きをお届けします◎
ブログに有るまじき長文ですが、お付き合い頂けると嬉しいです・・・!
※前回同様、本誌の内容にガッツリ触れていきますので、ネタバレNGな方はお気をつけください!
札幌編の過去の記事はこちらからどうぞ!
【ゴールデンカムイ聖地巡礼記②】1日目:札幌北大植物園with赤レンガ庁舎編 - サラミ放浪記
【ゴールデンカムイ聖地巡礼記③】1日目:おいでよ、開拓の村!編 - サラミ放浪記
【ゴールデンカムイ聖地巡礼記④】1日目:札幌市時計台~日本基督教団札幌教会編 - サラミ放浪記
はじめに
この日最後の巡礼スポットとなったのがサッポロビール博物館・・・の
外観です!
札幌駅到着時点で18時を過ぎており、有料ツアーはもちろん自由見学にも間に合わなかったよ!
見たかった、展示資料・・・
楽しみたかった、有料試飲・・・
(卒業式の巣立ちの言葉風に)
次回のお楽しみってやつですね。
ちなみにサッポロファクトリーも時間の問題でパスしています。
翌日、朝一のフライトで網走向かうので仕方ないです!
さて、この度新たな聖地巡礼スポットとして登場したサッポロビールについてですが、
杉元達がバトルを繰り広げているのは、現在サッポロファクトリーがある場所で、元々サッポロビールの生産工場だった場所です。
その工場内の建造物を一部サッポロビール博物館の敷地内にある建造物をモデルに描いています。
サッポロファクトリーは明治期に「札幌麦酒会社」によって新設された「札幌第一工場」の建造物・土地を活用して誕生した複合商業施設で、サッポロビール博物館は製糖会社の工場を「札幌麦酒会社」が買い取り、製麦所として利用した建造物を活用し、開館した博物館です。
なかなかトリッキーな描き方をしますねぇ、野田先生!
せっかくなので、検証の前にサッポロビールの歴史を少しご紹介。
サッポロビールの歴史
明治期における札幌のビール醸造業
明治期の北海道開拓事業によって、これまでの日本にはなかった新たな産業が多数誕生するが、その内の1つにビール醸造業が挙げられる。
1876(明治6)年9月、開拓使官吏の村橋久成やドイツでビール醸造を学んだ日本人技術者中川清兵衛が中心となり、現・サッポロビールの前身企業である官営の「開拓使麦酒醸造所」が誕生した。サッポロビールの歴史は、ここから始まった。
10年後の1886(明治19)年11月、道庁から大倉財閥への払下げによって醸造所は民営の「大倉組札幌麦酒醸造場」として新しいスタートを切るが、大倉財閥の創始者・大倉喜八郎は、翌年渋沢財閥の創始者・渋沢栄一、浅野財閥の創始者・浅野総一郎らに事業を譲渡してしまう。しかし、同年12月に大倉喜八郎が再び経営に参画する運びとなり、これをきっかけに新しく「札幌麦酒会社」(以下札幌麦酒)が立ち上げられた。
1892(明治25)年、札幌麦酒は「開拓使麦酒醸造所」跡地に札幌第一工場を新設する。この工場は1989(平成元)年に移転が決定するまでの約100年間、サッポロビールの生産工場として大きく貢献した。
一方、関東でもビール市場への注目が集まり始める。その結果として、1889(明治22)年10月に「日本麦酒醸造会社」(ヱビスビール醸造・以下日本麦酒)が設立するが、1903(明治36)年に札幌麦酒が東京に工場を設け、関東でも札幌麦酒のビールが流通し始めると、ヱビスビールの生産量は大幅に減少してしまう。
こうした背景から、日本麦酒社長・馬越恭平によって国内ビール醸造会社の合同路線が提唱された。日露戦争下という政治的課題を抱えていたこともあり、国内競争を続けるのではなく、競合他社は互いに団結するべきであるとの見解が一致し、1906(明治39)年3月、札幌麦酒、そして大阪市場を席巻していた大阪麦酒会社の3社合同で日本最大のビール会社である「大日本麦酒株式会社」が設立した。
明治以降の歴史はサイトや博物館で直接確認いただくとしまして、
杉元達が金塊争奪戦を繰り広げていた頃のサッポロビールは、念願の東京進出を果たし、1905(明治38)年には国内生産量ナンバーワンに上り詰めたところで大合同、市場シェアの7割を誇る大企業へと成長を遂げていく最中であったのかな、と思います。
いやはや・・・知れば知るほど一層サッポロビールとゴールデンカムイへの想いが強くなります。
こうした時代背景知った上で改めてサッポロ編を読み返すと、
「成長の最中でビール工場燃えちゃってますやん(困惑)」と、胸がキュッと締め付けられますね!
サッポロビール博物館
続いてサッポロビール博物館についてです。
サッポロビール博物館として利用されている煉瓦造の建造物は、元々「札幌製糖」という会社が1890年(明治23年)に建設した製糖工場の跡地で、1903(明治36)年、ビールの需要が年々高まりつつあり、生産量を増やすための工場増設が急務の課題となっていた札幌麦酒が工場跡地を買い取り、製麦工場として活用し始めたことから、サッポロビールの工場としての歴史が始まった。
冒頭で述べた内容と大差のないまとめですいませんm(__)m
どうしてサッポロファクトリーとサッポロビール博物館は離れているのだろう?と
ぼんやり疑問を抱いていましたが、歴史を振り返ってみると納得ですね。
工場の配置・デザインについて
ベースは札幌第一工場
配置につきましては、サッポロビール博物館に展示されている明治期の札幌第一工場のジオラマとほぼ合致するかと思います。
位置関係を把握したい方は、博物館に訪れることをおすすめします。
次に、建造物のデザインについてですが、
札幌第一工場内の配置や建造物をベースとし、一部の建造物については製麦工場の建造物をモデルに描かれている!
・・・と冒頭で述べた通り、部分的に札幌第一工場は描き替えがなされていると思います。
なぜそう考えるのか、理由は三つあります。
理由①地理的距離の問題
255-256話の杉元・アシㇼパさんvsオストログ、尾形vs宇佐美では製麦工場の建物内で
バトルが繰り広げられ、そして場外アウトする様子が描かれますが、
札幌第一工場⇔製麦工場間は徒歩15分程度の距離があり、この距離を瞬時に移動するのは容易ではありません。
理由②火災場所
オストログが254話で火を放って以降、どんどん延焼していく札幌第一工場。
仮に杉元達が製麦工場で闘っているのであれば、距離が離れているためここには火が回っていないはず。
しかし、作中では火災に気付き、戦闘終了後には現場から脱出する様子が描かれています。
理由③五稜星の有無
明治期に建築された建造物には五稜星マークが刻まれており、作中でもそのマークが印象的に描かれています。
いくつか描かれる五稜星マークのうち、注目して欲しいのが棟飾りの五稜星。
札幌第一工場内にある建造物では、五稜星の棟飾りは使用されていません。
一方、製糖工場の建造物では(私が見て回った限り)全ての棟飾りで五稜星が採用されています。
第252-第253話で菊田特務曹長とアシㇼパさんの問答シーンが描かれていますが、
菊田特務曹長のバックに描かれた建造物の棟飾りを確認してみると、
どれも五稜星が採用されているので、この点から札幌第一工場内のものとは違う建造物がモデルであると推測できます。
以上、三つの理由から、
・255-256話バトル組が製麦工場へと舞台を移したとは考えにくい
・工場内の一部建造物は、製麦工場の建造物をモデルとして採用している
と私は考えています。
また、製麦工場に舞台を移した場合、火災の件は勿論ながら
工場内でのあらゆる動向との整合性が取れなくなってしまいますしね。
札幌第一工場のどの部分を製麦工場の建物をモデルにしているのかまでは現段階で検証できていないのですが、
こうした推測を立てながらゴールデンカムイを読むのも楽しいかなと思います!
工場全体図と各アングル
博物館に立ち寄れなかったので、関西に戻ってから
当時の建造物の配置やデザインが分かる資料がないか調べて見たところ、
それっぽいものを見つけることができました。
まちかどの西洋館別館・古写真・古絵葉書展示室様のブログより
結構忠実に再現されている気がする・・・!
「大日本麦酒株式会社」とあるので、3社合同以降の絵葉書ですね。
一番西側の建物だけ白っぽくて煉瓦造っぽくない気がしますが、配置に大きな変化はないと思います。
ネット上で確認できるジオラマの写真も参考に拝見しましたが、
建物のデザインはともかく、配置はやはり一致していると思います。
現在との比較
作中の工場と現在のサッポロファクトリーがどの程度類似しているかを、エリア別に比較してみました。
まずは 作中で描かれた工場地図を。
現在がこちら。
開発の過程で半分以上建て替えられていますが、レンガ館・日建学院札幌校辺りは
明治期に建造された工場をそのまま活用しているので、作中の雰囲気そのままに、と言ったところでしょうか。
現在の工場正面(杉元組待機場所)
現在の工場東側(土方組待機場所)
現在の工場裏面(都丹組待機場所/尾形の囮が狙撃される場所)
工場西側(牛山組待機場所)
西側は現在、全貌が分かる描写がありません。
問題点/組の待機位置
工場の配置・デザインに関する検証を進めていく中で、ずっと引っかかっていることがあります。
牛山組と都丹組の待機位置についてです。
土方組と、杉元組の位置は背景描写からみて合致していると思うのですが、
牛山組と都丹組だけズレが生じており、私はずっと混乱しています。(助けて検証班)
第251話で明らかになった配置に対し、
牛山組の娼婦役・門倉部長と都丹組の娼婦役・房太郎が待機している場所がこちら。
え、工場正面と裏面じゃん・・・
牛山組はまだ何とかなるかもしれないけど、房太郎よ・・・
地図の配置通り、都丹さんと有古が工場裏面で待機している場合、
正面にいる房太郎の姿は見えないのでは?
~この問題にぶつかって以降、サラミは考えることを放棄した~
うーん、真実は野田先生のみぞ知る。
シーン別検証
・・・考えることを放棄している場合ではありません。
謎が解けないモヤモヤを抱きつつ、シーン別の検証を進めていきます。
ちなみに外観のみの検証となります。
今回パスしたサッポロファクトリーについてはGoogleストリートビューの助けを借りました。
内観も含め、次回の札幌訪問の際にじっくり見て回りたいと思います。
第249話/工場外観
石川啄木が次の犯行現場を皆に伝えるシーンで、札幌麦酒工場の外観が登場。
ここは、現・サッポロファクトリー3条館~レンガ館に該当します。
第250話/宇佐美、娼婦(役の門倉部長)に尋ねる
―「すみませーん、ここがサッポロビール工場ですよね?」
・・・と娼婦役の門倉部長に質問するシーン。
ここはサッポロビール博物館入り口・サッポロビール園総合受付の建物かと
第250話/コンバンワ
オストログが娼婦役の夏太郎に声をかけたシーン。
こちらはサッポロファクトリーレンガ館のタクシー乗り場側が該当すると思います。
分かりづらいですが、明かり窓の中には開拓使のシンボル・五稜星があしらわれており、夏太郎はこの窓の傍に立っています。
第250-第251話/門倉部長待機場所&牛山VS宇佐美
娼婦役の門倉部長が宇佐美に声を掛けられ、逃げようとしたところで牛山が登場。
その後第七師団(鯉登・月島・二階堂・菊田)と杉元組が集結するまでのシーンです。
ちなみに私は牛山と宇佐美が組手で互いの力量を認識するシーンが好きです。
先述の通り、門倉部長は工場裏面、横に長い工場の端にいます。
ここは現・サッポロファクトリー2条館の道路側あたりかと思います。
その後牛山が窓ガラスを突き破って、工場へ潜入
この後宇佐美は三八式を残し、門倉部長を追跡します。
第251話/訂正の花火
―「永倉!!訂正の花火をあげろッ」
永倉のおじいちゃんが花火あげた次のコマはサッポロビール博物館入口の上部に該当します。
第252-第253話/菊田特務曹長‐アシㇼパさんの問答
なぜこのような悲劇が起こってしまったのか、そしてその真相を知るために
鶴見中尉と一度会うようにとアシㇼパさんを説得するシーン。
ここもサッポロビール博物館の入口に該当します。
五稜星の棟飾りと明かり窓、窓や扉の形と配置もぴったりです。
第252話/宇佐美、アシㇼパさん発見
宇佐美が菊田特務曹長と問答中のアシㇼパさんの姿を発見するシーン。
上記写真の入口前にいる二人を目視で確認できる範囲で、
三角屋根の出入り口がある場所が・・・ありました!
博物館入口から開拓館の方面へ10m程度歩いたところに出入口を発見。
宇佐美のアシㇼパさんを発見したのは、恐らくこの出入口付近かと思います。
第251話・第253話・第256-第257話/サッポロビール煙突
サッポロビール編に入って以降頻繁に描かれている煙突。
これはサッポロビール博物館に立っているものがモデルかと思います。
第251話でキラウシが花火を打ち上げた後の、俯瞰視点で描かれた工場中心部(煙突周辺)のコマから、
煙突の土台が四角形かつ、土台からすぐの煙突部分が多角形であることが分かります。
また、多角形の部分は第253話で土方さんと合流した都丹さんが
銃声から別方向で何かが起きていると推測するシーンでも大きく描かれています。
また、ここは刺青囚人の上エ地圭二が足を滑らせ転落死した煙突でもあります。(第256-第257話)
第255-256話/尾形の狙撃位置
尾形の放った弾丸はサッポロビール博物館の樽のオブジェ付近(?)で宇佐美を貫いたと考えられます。
尾形の視点から検証してみましょう。
宇佐美との肉弾戦の後、尾形は工場内を移動する最中で
場外アウトするオストログ、馬に乗って鶴見中尉の元へ向かおうとする宇佐美を発見します。
「安いコマかどうかそんなに不安なら、お前の葬式で鶴見中尉がどんな顔をするのか見たらいい」
この言葉の後、尾形は進行方向を予測した上で宇佐美を狙撃、見事命中。
弾道は下記写真のような感じで、窓二枚を貫通しています。
どういうことだってばよ・・・
隻眼とは思えない狙撃技術です。
被弾した場所はもうちょっと手前かも・・・?ですが、大体こんな感じかと思います。
尾形がオストログを発見した直後のコマを見ると、オストログが落下する建物には3連ドーマーがあります。
オストログの落下ポイントや三連ドーマーの位置、宇佐美の進行方向や尾形が狙撃した位置、
サッポロビール博物館の入口裏手はこれらの配置を満たしていると言えます。
第256話/宇佐美の最期
銃弾を受け、落馬する宇佐美を鶴見中尉が抱き止めて最期の会話を交わすシーン。
聖地巡礼旅の一週間に配信された第256話、あまりにもしんどすぎる・・・(暫く引きずった)
「これで私たちは一緒らすけ」
篤四郎さんにとって一番の友であると時重くんに伝えるシーン。
このとき篤四郎さんこと鶴見中尉の背景に、五稜星の棟飾りがついたドーマーが確認できます。
進行方向から察するに、宇佐美は第252話でアシㇼパさんを発見した建物付近で息絶えたのではないかと思います。
おわりに
ゴールデンカムイで描かれた場所を巡るのは勿論ですが、
仕込みの段階でサッポロビールの歴史を調べていくのが非常に楽しかったです!
それ故に今回博物館に立ち寄れなかったのが結構心残りだったり(笑)
まぁあれもこれもと欲張っちゃうと、旅に余裕がなくなっちゃうので仕方ない。
サッポロビール編は検証の余地がある場所がまだ沢山描かれている(誕生する)と思うので、
本誌読んでるよ!って方は、ぜひサッポロファクトリー・サッポロビール博物館に
足を運んで頂きたい!!!そして、お酒が飲める方にはビールを堪能して頂きたいッ!
私も撮影を終えた後、サッポロビール園でジンギスカンとビールを頂きました☆
この後起きる悲劇も知らずに・・・
次回、サラミ放浪記!
「キャリーケースの中は頭がおかしくなるまで確認しろ」
お楽しみに~◎